皆さん、音楽は何で聞いていますか?
CDを買って、パソコンで取り込んで、スマホに同期して…だったり、CDをそのままCDコンポで再生したり、音楽配信サービス、Apple Musicでダウンロードしたものを聞いていたり、SpotifyやLINE MUSICなどのストリーミング再生サービスを使っていたりしますでしょうか?
突然ですが、私はとあるアーティストさんの音楽活動のお手伝いをしています。
古くは物販でのCD手売り、CDの手焼きプレスのお手伝いだったり、ライブチケットの販売や、宣伝用のHP制作や、CDの盤面デザインや入稿のお手伝いなどをしております。
なお、私自身は最近ギターを始めたくらいなもので音楽知識については皆無です。
ただ、音楽再生に関してはそのアーティストさんに限らず、皆さんよく聞いてたりするとは思うので、せっかくならみんながこうやって音楽を楽しんでくれるとアーティスト側も喜んでWin-Winになれるぞ〜というのを紹介したい!! というのがあります。
アーティストさん側にストリーミング再生でどれくらい収益でているか、というのを自身について非公表であれば公開してもよいという許可も頂いたので、数字面においても参考にしていただければと思います。
- 皆さん、音楽は何で聞いていますか?
- 音楽のサブスク(定額制音楽配信)とは何か
- Spotifyにおける収益分配について
- 最高な形は、CD買う+単曲・アルバムダウンロードで買う+再生はサブスク
- CDとダウンロードとサブスク、どれか一つしか選べないとしたら?
- 音楽サブスク(定額制音楽配信)の収益についてご紹介します
- 音楽サブスク(定額制音楽配信)の配信方法
- 配信をはじめた理由
- サブスクで音楽配信した場合の収益内訳
- YouTube コンテンツ収益化サービスとは何か?
- Monstar.fmでの配信
- TuneCoreでの配信
- 同一曲がストア別に再生された場合、販売収益単価によって売上に差異が発生する
- サブスクだけで生きていくには厳しいが、収入源としては重要すぎる
- 最後に
音楽のサブスク(定額制音楽配信)とは何か
サブスク自体はサブスクリプションの略で、月額でお金を支払って定められたサービス内のコンテンツを自由に使えるものです。
最近では音楽以外にもNetflixなどの映画やそういうサービスが増えてますね。。
そもそも、ガラケー時代から月額315円で何かを利用する〜とかそういうのをしたことがある人は何となくイメージしやすいかなと思います。
音楽の場合には、Spotifyやあの、iPhoneを販売しているAppleの提供するApple Musicなどがあり、AmazonもAmazon musicというサービスだったり、LINEもLINE MUSICというサービスをやっていたりします。
ブログ筆者が大好きなうたプリも特定の曲はSpotifyで再生できるようになってます!
このブログ記事は以下のSpotifyのスターリッシュトラックリストを再生しながら書かれました。
Spotify
Apple Music
Amazon Music Unlimited
Amazonには、Amazon Music Unlimited と Amazon Prime Musicという2種類のサービス形態があり、Amazon プライム会員に加入していれば、Amazon Prime Musicで配信されている200万曲の中から曲が聞けます。
が、ほとんどAmazon Music Unlimitedじゃないと満足に聞けない曲ばかりです。
LINE MUSIC
それぞれのサービスで推しているのは大体、聞ける楽曲の数ですね。
7500万だったり、8100万だったり、結構な差があったりします。
Spotifyにおける収益分配について
まず、Spotify自体の収益構造・分配について説明している記事があるのでこちらを読んでみてほしいです。
いきなりおかしいって言われてるんですが定額制音楽配信って、最初はアーティスト側からはあまり受け入れられていないという印象を私は持っていました。
たくさん再生したらその再生分がアーティストに還元されているわけではない、という前提があるんですよね。なんか小難しいのですが…。
そのため、海外のアーティスト側からは音楽サブスクは儲からないという話もあります。
そもそも1再生単価0.3円とかアカンみたいな話で、だったらサブスクで聞かれるよりも1枚CD買ってもらった方が明らかに儲かるんだが、みたいな話は十分理解できるんですが、そもそも今はCDが売れない時代なのです…。
いや売れない時代っていいながらアイドルの同じCD何枚も買ってるんですけど、つまりそれって、そういうことですよね…。
全体的にCDが売れないから、同じCDをどうにかこうにかして(握手券〜直筆サイン〜小売店別特典〜CDジャケットA〜CDジャケットB〜…)売ろうとしているような気がしているんですが気のせいなのでしょうか…。
本当にそのアーティストのファンで追っかけてくれてきている人くらいじゃないとCDってあまり買わなくなってきている気がするのですが、どうでしょうか。
同じCDを同じ人に何十枚も売れるタイプのアーティストであればCDで売った方が収益が大きいと思うのはそうなのですが、そうした売り方ができない場合、あくまで関わらせていただいているアーティストさんの視点からになってしまいますが、CD以外の売れる手段としてのサブスクは収入源としては貴重だと思っています。
最高な形は、CD買う+単曲・アルバムダウンロードで買う+再生はサブスク
大好きなアーティストに還元してぇ〜!!! と思ったらこれが今の最強な形な気がします。
- CD買う
- ダウンロードも買う
- 再生自体はサブスクで再生する
これをしてもらうと、CDの収益、ダウンロード版の収益、サブスク再生収益の3つがアーティストに還元されるので個人的には嬉しい欲張り3点セットだそうです。
更に余裕がある人は、ぜひファンクラブに入ってくださいッ!!!
もし配信が何らかの事情で止まって聞けなくなっても、CDは物理で手元に残りますし、サブスクは例えばiPhoneや再生機器に音源を同期し忘れてもアプリがあればそこでもう再生できるという利点があるので、全て持っておくのはあながち間違いではありませんぞ!!
実際私は電子書籍についても物理(リアル本)と電子書籍と両方持っているものがあります!
なぜなら電子書籍の方がストアのサービス終了でデータごと権利なくなったことがあるからです。トホホ。
あとCDはコレクション性もありますし、ブックレットや盤面デザイン、歌詞やライナーノーツなど読んでて面白いコンテンツが多いです。
配信だとそのあたりは楽しめないですからね!
CDでそこを楽しみつつ、利便性で音楽サブスクを利用すればまさかの再生数でアーティストへの還元ができ、ダウンロードも買っておけばさらに還元でもう完璧でしょう。
今の時代の音楽の三種の神器です。
CDとダウンロードとサブスク、どれか一つしか選べないとしたら?
というか!!
CDも買って、ダウンロード版も買って、サブスク加入して再生するなんて人、めったにいないですよ!!!
私は馬鹿なのでそうしていますが、普通はどれか1つが限界だと思います。
私もその昔、スピッツとポルノグラフィティのアルバムが欲しくて欲しくて仕方がなかったのですが、当時のアルバム1枚3,000円はかなりのお値段でなかなか手が出せずに泣いていました。
ちなみにその当時欲しがっていたスピッツのアルバムは色色衣で、バイト代を貯めて買おうと決めて買ったアルバムなのでどの曲も当時を思い出して涙が出ます。
お勧めは、ほぼ全曲なんですが「稲穂」「魚」「メモリーズ」「SUGINAMI MELODY」「孫悟空」「大宮サンセット」がめちゃくちゃ好きです。お勧めなので聞いてほしい。
さてさて、話が脱線しましたが、結局どれがアーティストにとって一番収益性が高いのか?
CD買うか、ダウンロードにするか、サブスクにするか、のどれか…。
一体どれが正解やねん、と私も思うのですが、こればかりは応援したいアーティストがどれに主力をいれていて、どこで売上をあげているかによると思います。
例えば先程お話した同じCDにいろんな特典を…というのは明らかにCDで買ってほしいという意思の一つだと思われます。
配信はなくて、CDだけならもうそれしかなさそう。CDを買え。そういうことだと思ってます。
一方で以下でご紹介する匿名ダイアリーでは、「サブスク」について言及したアーティストさんの話になります。
今はCD発売と同時にサブスク解禁もあるので、そうなると「CD!? サブスク!? ダウンロード!? どれにしたら一番いいの!?」と悩んでしまうかもしれません。
そしてこの場合は藤井風さんは「サブスクでたくさん再生ありがと〜」という趣旨の発言をされています。なので「サブスクがよかったのか!?」とファンの皆さんがなっちゃったという感じなのだと思います。
この匿名ダイアリーで書かれている内容についてアーティスト側の配信に関わっている個人的な身として概ね同意します。
ただ、どれがよいかという話になったときに複数の手段が用意されていても、
- CD買うか
- ダウンロードするか
- サブスク再生のどれか
をしていてくれればアーティストの売上に貢献してもらえてるので、一番利益になるような方法でアーティストを応援出来ていないことに対して引け目を感じることはないんじゃないかなと思います…。
CDだけでごめんなさい、ダウンロードでごめんなさい、サブスクで再生しててorしてなくて、ごめんなさいとか、思わなくても良いと思っています。
一方でもちろん、音楽でご飯を食べていくのであれば利益が最大限出る方法を選んでいくべきだし、生活成り立たなくなったら音楽活動できないので、生きていくために、この方法でファンの人に買ってもらえたら嬉しいというのは十分あります。
なので、実際どういう風にアーティストは収益を得ているのか? というのをある程度ご紹介できたら、ははぁこういう風な仕組みになってるのだな、と理解できると思いますし、ちょっと意識を変えて行動していただくだけでアーティストさんの売上があがって活動もしやすくなる可能性は十分あるな、と思ったので今回の記事を書こうと思い立った次第です。
私がお手伝いさせていただいているアーティストさんは、
お金がなければ生きていかれないので、買っていただけると嬉しいです!
ただ、無理しないで、自分の好きな方法で構いません…。もちろん、色々考えてもらえるなら最高です…。
とおっしゃってました。
これはアーティストさんと裏方活動の雑談してきてよく話すことなのですが、一番良い方法をファンの人に選んでほしいのなら、選んでほしい側がわかりやすく伝えて、「ここで買ってくれ〜」ってお願いするのが一番だよね、と話しています。
ようするに買う手段がたくさん用意されている場合、もちろん買う場所によって利益率は異なるパターンが多いのですが、色んなルートを用意した方が利益率を集約するより全体の販売数があがって最終的にヨシ! になるからやってるわけだと思いますし、その中でどれを選ぶか!? まで考えて買ってくださる方というのは本当に稀だとは思っているので、意識できる人がやってくれたら最高に助かります…。
意識せずにテキトーに買ってる人がダメとかでなく、意識できる人がすごいなと私は思ってるので…。
あとは、結局一番は自分が無理せず応援できる方法を選ぶのがよいのかなと私個人は考えてます。応援するのにあれこれ考えてしまって、逆に疲れてしまうのは勿体ないですから…。
疲れたらとりあえずどこでもいいから買っておけばOKだと思ってます。
もちろん他のアーティストさんで「いや一番利益率高いところで買ってほしいけど!? 従いましてゼッタイここでお前ら買えよ!!」みたいな指示があれば、わかり易すぎることのこの上ないのでそこでゼッタイ買うのが吉だと思います!
私もそういう売り手側の誘導あればそこで買います!!
音楽サブスク(定額制音楽配信)の収益についてご紹介します
ぶっちゃけ、サブスク(定額制音楽配信)をしているアーティストさんは儲かっているのか? 再生している側も、もしかしたらこれから配信を考えているアーティストさんも気になる収益の話について、お手伝いさせていただいているアーティストさんとも相談の上、参考になればと思い公開いたします。
とはいえ今回のお話はメジャーアーティストではなくインディーズアーティストの事例です。(大手事務所やレーベルには所属していません)
インディーズとはいえ一部メジャーにも露出はされているので、特定界隈ではこのアーティストさんのことを知らないという人はいないアーティストさんになるので完全なインディーズというよりもメジャー寄りの中間かもしれません。
音楽サブスク(定額制音楽配信)の配信方法
私がお手伝いさせていただいているアーティストさんは2種類の配信サービスを使って配信を行っています。
インディーズで配信する場合には、ストアに直接いって「配信してください」という感じではなく、インディーズも取り扱っている代理店のようなものを通して配信します。
それが今回ご紹介する、Monstar.fmとTuneCoreという2つのサービスになります。
配信をはじめた理由
CD再販のリクエスト自体がよく届いていたのが一つのきっかけです。
そのCDにしか収録されていない曲が多かったから、というのもあるかもしれません。
しかし、もう一度同じCDを再生産するのはコスト的に大変厳しかったのです。
ただ、CDが無理なのであれば配信はどうだろう? CDで出すコストよりも低いのであれば試してみる価値はあるのではないか、となったのでした。
ライブでの手売りもイベントでの手売りも自家通販もショップ流通も当時は限界を感じていた、というのもあります。
当初は音源自体をダウンロード販売するのが目的でしたが、当時は先述したサブスク型の定額の音楽配信サービスが海外で始まったばかりで、例のSpotifyも日本上陸前の海外でのみ展開中でしたが、なぜか配信自体はできるという謎の状況でした。
日本から配信はできるけれど、日本からはSpotifyが聞けないので、どんな風にユーザーさんに聞いてもらってるのかはさっぱりわからないという謎状態でしたが、配信できるサービスを選ぶことができず、一気に提携サービスに配信される仕組みだったので問答無用で海外に配信されていったのでした。
サブスクで音楽配信した場合の収益内訳
サブスクといっても、配信したサービス側によって購入形態が違うものがあります。
例えばiTunes(Apple)とかはダウンロード販売という形式もあるので1曲153円だったり、10曲のアルバムフルダウンロードで2000円で販売されており、これがダウンロードされた場合、アーティスト側の収益になります。(ただし、取り分は配信時に利用したサービスごとに違います)
いわゆるダウンロードは1曲の場合は「単曲ダウンロード」、アルバムを購入してもらった場合には、「アルバムダウンロード」という売上になります。
一方でサブスクでいう、1再生あたりいくらの話は、「ストリーミング再生」だったり「サブスクリプション」という収益に該当します。
また、一部では「YouTube コンテンツ収益化」という機能を利用できたりもします。
YouTube コンテンツ収益化サービスについては後述で説明しますね。
今回ご紹介する収益については、
- サブスクで1再生あたりの「ストリーミング再生」による収益
- 単曲ダウンロード、アルバムダウンロードによる収益
- YouTube コンテンツ収益化による収益
この3つが主な収益内訳になっています。
今回の収益割合は、
- ストリーミング再生 約4割
- ダウンロード販売 約2割
- コンテンツ収益化 約4割
なのでストリーミング再生とYouTubeのコンテンツ収益化が大きいですね。
さらに曲作りにかかる必要経費諸々ありますので、もちろん売上から差し引きされます。
ただ、配信しなければゼロだけど、配信をすれば赤字にならずに収益はでてるので、ゼッタイにやらないよりやった方がよいでしょうという結論にはなっています。
音楽配信でベースの収益が得られるようになったので、この勢いで新しいライブとかも考えたりできるように…!!というところでコロナ直撃したので問題発生し続けてますが、アーティストさんの活動自体は止まらず続けられています。
YouTube コンテンツ収益化サービスとは何か?
さて先述した収益の内訳にあった「YouTube コンテンツ収益化」についてご説明します。
TuneCoreはYouTubeのコンテンツ収益化というサービスに対応しています。
『YouTube コンテンツ収益化サービス』とは、YouTubeが提供するYoutube コンテンツIDの仕組みを利用することで、世界中でアップロードされるYouTube動画にあなたの楽曲が使用された場合に、その使用に応じて収益をあげることができるサービスです。
そもそも、YouTubeにフル音源動画を無断違法アップロードされ、困り果てていた
例えば今回のアーティストさんの楽曲は「高音質」とか「フル」とかタイトルをつけられてアップロードされている状態が続いていました。(どうして…)
今でこそ大分コンテンツの整備がはじまったものの、以前のYouTubeは無断でアップロードされたフル音源動画にあふれていました。
新曲リリースのためにPVを準備してアップした動画の関連動画に違法アップロードされたフルバージョンが登場するという「なんですと!?」みたいな状態になったり、「素敵な楽曲なので全世界の人に聞いてほしいと思いYouTubeに全部アップロードしておきました」とCD発売日に報告(!?)を受けはじめたあたりからこれはどうにかしなければ…と思うようになりました。
言わなくてもわかると思いますが、YouTubeにアップロードされてしまいますと皆さんそこで再生してCD買わないパターンでてきます。
というか普通に違法アップロードは著作権法違反です。ダメです!
皆に聞いてほしいという善意と厚意でやってくれたのはわかりますが、勝手にフリー素材にされると、アーティストは収入源がなくなり、普通に死にますのでやめましょう…。
皆に聞いてほしい〜というその気持ちでアーティストの背中を撃つ行為、本当にショックなのでやめましょう…。
良いものはみんなに聞いてほしい、見てほしいという気持ち、自分もあるので、グレーゾーンをギリギリ走ってしまう経験があり、実際に怒られたこともあるのでよくわかるのですが…。
違法アップロードされていた動画に広告が掲載されるようになり、収益化された
当初、違法アップロード動画についてどうするか悩んでいました。
YouTubeに削除依頼をするにも手続きが煩雑すぎて悩んでいたタイミングで、今回のYouTubeコンテンツ収益化サービスというものを利用することにより、広告掲載で収益化することができました。
YouTube に使用を許可しているライセンス所持者
上記のようなライセンス表示が出ている場合には、ここで紹介したYouTubeコンテンツ収益化サービスを利用もしくは、YouTube側のContents IDのサービスを利用して、アーティスト側がコンテンツ収益化し、アーティスト側に収益が分配されている可能性が高いです。
なのでYouTubeの場合は無断転載っぽい動画でもアーティスト側の利益になっている場合もあります。
YouTubeで楽曲を聴いてもらっても、その動画で再生されている広告収益がアーティストにも分配されているので、アーティスト側が間接的なYouTuberみたいになっているという感じです。
広告の対象になっている動画の数は把握できていますが、どの動画が対象になっているかまでの細かいところはアーティスト側で把握できていません。
なのでこの動画を再生するとアーティストさんにお金入ってますか!? というような質問を受けてもわからないかもです。
お問い合わせしたら調べてくれるかもですが…。
ただ、広告が掲載がされてYouTubeに使用を許可〜ってなっていても、個人的には無断で音源をアップロードしたり、アップロードされた動画で聞いてもらうよりも、CDやサブスクできちんとお金を払って聞いていただきたい、そう思います…。
元々これら無断違法アップロードだし…という気分が抜けなくてこのあたり微妙だな、という話をアーティストさんともしました。
今まで虚無だったものから収益が発生していることは進化だとは思いますけど…。
さて、以下からは利用しているMonstar.fmとTuneCore、それぞれの配信状況についてご紹介します。
Monstar.fmでの配信
最初に配信を検討しはじめたのは2013年。
Monstar.fmというこちらのサービスに楽曲登録をして、iTunesで曲が購入できるようになった時は感動しました。
うぉぉ! あのiTunesで曲が聞ける〜! サイコ〜となりました。
当時の裏話として曲のダウンロード販売の曲単価をアーティスト側で希望小売価格みたいなのをつけれるのですが、アーティストさん側は「100円にしたい」と希望を100円にして申請したところ、まさかのApple側からそれじゃ利益出ませんよ…みたいな話がきて、強制的に150円(当時)になりました。
アーティスト希望小売価格は通らず、Apple希望小売価格になってしまったのですが、あまりにも安すぎる売り方も結局は身を滅ぼすので適正価格はつけろというアレなのかもしれません。
なお、配信サイトによって、アーティストへ還元される収益配分が異なります。
参考までにMonstar.fmは以下のような収益体制になっています。
海外配信につきましては、配信サイトから当社に還元された金額の75%をお支払いたします。
※配信サイトからの支払いはドルで支払いが行われるため、単価に変動ががありますことご了承ください。
配信サイトから当社に還元された金額の75%、と書いてあるのですが当社(これは配信サイトであるMonstar.fmを指す)と思いますが、Monstar.fm自体に還元された金額がいくらになっているのかはよくわからないんですよね。
レポートとして挙がってくるのは、以下のようになっていて、単曲ごとに支払単価と点数をかけた小計が売上金額として計上されてきます。
定額で聞いてもらう以外にも単曲でダウンロードも購入いただけるので、その場合は単曲ダウンロードという売上が計上されます。
153円で販売している単曲がMonstar.fmで売れると67.50円、アーティスト側の収益として入ってる、という感じです。なのでまるっと153円がアーティスト側に支払われているわけではない、というパターンもあります。
こうした収益はアーティストが利用している配信サービスや、アーティストごとの収益形態によって違うようです。
すべてのアーティストがここで紹介したような同じような報酬を得ているわけではありません。あくまでも参考の一つにしてください。
例えば、Spotifyの収益構造を紹介するにあたって冒頭で記事紹介しましたが、そちらの記事内にも記載通り、TuneCoreなどのサービスで配信する場合は、アーティストのロイヤリティー率(Artist’s Royalty Rate)などは発生しません。
私たちはTuneCoreやMonstar.fmを経由して配信しているため、「アーティストのロイヤリティー率」というものは加算されていないと考えて間違いなさそうです。
はじめての売上は…
参考までにMonstar.fmではじめて配信した3ヶ月の売上は1つのCDを配信してストリーミング再生と単曲、全曲販売の売上もろもろあわせて、約7,900円でした。(2013年当時)
Monstar.fmさんは1シングル、1アルバムごとのリリースに登録手数料として3,000円かかって、維持費はかかりません。(ただし前述した通り75%還元です)
なので利益としては、
7,900円 - 3,000円 = 4,900円
みたいな感じになります。(あとはなんか源泉徴収などが行われたりします)
当時ミニアルバムを1枚、1,500円で売ってたので、3ヶ月かけてミニアルバム3枚半くらいの売上にしかなっていません。
とてもではないが、配信だけで生きていけない、ご飯食えない、と素直にそう思いました。
ようするにこのサブスクで再生してくれた人が、サブスクという方法がなくてCDしか選べない状況で、CDだけを買ってくれてたらもっと儲かってたかもしれない、みたいな話になるわけですね。
でもサブスクで再生してくれる人、必ずCD買ってくれてたかな〜!? って思ったら買わないかもしれないんですよ…。
1,500円払ってくれたか、もしくは0.3円をくれたかみたいな博打みたいな…。
とはいえ、自分たちの置かれた条件が、
- 手に入れる条件が厳しい(CDの流通販路が狭いのでファンの人が買う手段が少ない)
- 国内ですら厳しいので海外の人はもっと厳しいけど海外ファンの人が多かった
- 音楽配信なら海外でも聞いてもらえる
という特殊状況下にあったのでそう考えると自分たちのようなパターンのアーティストは、CDならもっと売れたのに〜! という賭けをするよりも配信して0円が0.3円の収入になったほうが断然マシなんですよね。
2013年〜2021年で移り変わる配信サービスと伸びた売上
ちなみに今はサブスク再生がメジャーになったからでしょうか、その後1アルバム増やしたのですが、倍以上の売上になりました。(2021年現在)
配信をはじめた当初の2013年は、まだ定額制サブスク再生というものが定着していなかった時代でしたからね…。
グラフで急にガクっと下がる箇所があるのは、3ヶ月での締めが1ヶ月で締められていたり、イレギュラーな締めの期間が発生してるためです。
Spotifyは2016年9月に日本上陸なので、2013年〜2016年8月までは海外の人しか聞けてません。
レポート推移を見ると明らかにサブスク再生数が上がっているので時代の移り変わりを感じます。。biz-journal.jp
なお、Google Play Musicはひっそり終了したのでその分、ちょっと売上下がったりしました。
ちなみにですが、monstar.fmは配信先サービスはなんか急に増えて、急に配信始まります。なのでこのFacebookもいつのまにか現れていつのまにか配信されてました()
このあとに紹介するTuneCoreは、配信する形態や年数によってかかる金額が異なってきますのでまた利益計算が異なってきます。
TuneCoreでの配信
TuneCoreは配信ごとに年数によって更新されてお金がかかってるので、アーティスト側も配信にサブスクかけてるみたいなイメージでいてください。
こちらは2018年から配信をはじめました。
よくみたら2012年に日本でサービス開始してたんですね…。Monstar.fmしか当時見つけられなかったんだけど、TuneCoreも昔から一応あったようでした…。
利用料金などの金額は以下に書いてありますが、2021年8月24日時点で私がお手伝いしてるアーティストさんは1アルバムの5,225円を毎年支払って配信しています。
TuneCoreは維持費がかかりますが、Mostar.fmとはまた違って、
当社は各配信ストアから実際に支払を受けた金額をアカウント管理者様のアカウント『レポート』 および 『残高』に計上します
配信ストアから支払いのあった金額をそのまま計上している(つまり100%還元だと思われます)ので、ストアからの支払い金額がそのまま乗ってきます。
なので1年のうちに5,225円分の配信の元が取れなかったら赤字みたいな感じですね…。
TuneCoreの売上
このように、TuneCoreではストア別の全体再生数と、どの地域でどれだけ再生されたのかがわかるようになっています。
これは「販売収益合計」、つまり単純な売上が多いストア順で並び替えたグラフです。
Amazon Music Unlimitedがリクエスト数は少ないにも関わらず収益が伸びており、Spotifyのリクエスト数より明らかに少ないにも関わらず収益が高いという結果がわかるかなと思います。
リクエスト数でソートすると同一曲が1番人気でリクエスト数がやはり高いのですが、再生されるサブスクのサービスによって販売収益単価が違うので、同じ曲をそれぞれのサービスで再生されたとしても、販売収益には結構な差分が出ていたので以下で集計してみました。
同一曲がストア別に再生された場合、販売収益単価によって売上に差異が発生する
これは同一曲の販売収益単価×リクエスト数=販売収益を出した表です。
例として、とあるアーティストのヒット曲「すっげーいい歌」という曲があったとします。
「すっげーいい歌」という曲が、色んなサブスクサービスで聞かれた場合、すべて同一の金額での収益になるのではなく、サービスごとに販売収益単価(1リクエストあたりの単価)が違うので、サービスごとに収益に差が生まれている、という発見があるので共有したいというのがこの項目の趣旨です。
どんだけ小数点多いねんって感じなのですが実際のCSVに書かれているのでとりあえずこのまま計算します…。
単価が高いのがYouTube Music、次いでAmazon Music Unlimited となります。
対して単価が低いのが、Prime MusicとSpotifyです。
Spotifyの再生単価については、2年前の以下の匿名ダイアリー内のツイートで言及されている0.3円とほぼ差異がない結果にはなりました。
アメリカのSpotifyだと0.4円になったりしてますね。現地通貨とのレート換算の結果でしょうか?
「すっげーいい歌」がSpotifyで29,628回聞かれても、9,465円にしかならないのにも関わらず、Amazon Music Unlimited で24,552回聞かれると、26,240円になるのです。
0.3円と1円ではこれだけ変わってくるので、アーティストにとって販売収益単価が違うというだけでこれだけの収益に差異が発生するのがおわかりいただけるかと思います…。
一方で再生回数に限らず販売収益単価が大きいのはどのサービスになるのでしょうか?
dヒッツ、販売収益単価が1円、6円、47円となぜか様々…
なんとdヒッツというサービスで脅威の販売収益単価が47円となっているものがありました。なぜ?
docomoとレコチョクのサービスのようです。その昔、着メロと着うたでお世話になったことがあります。
月額550円(税込)で6,000プレイリスト以上が聴き放題
月額550円って結構お安いですね! それなのにアーティストへの収益還元がかなり高いのありがた〜い。
しかしリクエスト数はかなり少ないです。
販売収益単価が、47円がもらえてる曲と、1円になってる曲、実は同じ曲だったりします。
なんか再生方法や再生した人の加入プランとかで違うのかな…全然わかりません。
再生数が多くなればなるほど単価が下がるとかあるんでしょうか。よくわかりません。
ひかりTVミュージック、販売収益単価が7円〜15円
曲によって7円から15円に変動している理由はよくわかりませんが、これも単価は高いです。ただし再生数はほぼない…。
再生単価の算出については以下のnoteに算出式があったので参考にしてください。
上記の式からわかることは、1人当たりの再生回数が増えれば増えるほど、再生単価は下落する、ということである。具体的には1人当たりの再生回数が480回程度であれば1円。960回程度であれば0.5円に上がる、といった調子である。月に480曲聞くということは、大体1日あたり16曲で、アルバム1枚+αくらいだろうか。これが多いか少ないか、は人によって意見が分かれるところだろう。
ようするにサブスクは聞いてほしいのではありますが、サブスクで色んな曲をめっちゃ再生されるとアーティストに還元される再生単価が下がるらしい…。
そんな…ってなりますわな、めっちゃ色んな曲を再生すればめっちゃアーティストにお金行くと思ってたらめっちゃ色んな曲を再生したらむしろ再生単価下がるなんて脳がバグりますね。
月額980円の会員費が原資になっていてそれを山分けしていると考えるとなるほどなあという気がします。
実際収益レポートを見ていても、ユーザーがどのように再生したかまではアーティスト側はわからないのでこの再生数がどのように算出されているかはわからないですが…。
ゆえに今後再生単価がより高くなるためには、①そこまで音楽をたくさん聞かないライトなユーザーの流入 ②サービス自体の値上げ。が必要となるだろう。
もしかすると980円からの値上げもあるのかもしれないですが、1000円超えると月1000円以上はなぁという気持ちになる人も多そう。
Amazonプライムがどんどん値上げしてるから値上げはあると思いますけども…。
サブスクだけで生きていくには厳しいが、収入源としては重要すぎる
1再生(リクエスト)に対する販売収益単価についてはサービスごとにバラつきがあり、厳しい状況であることはわかっていただけましたでしょうか。。。
特定アーティストをヘビロテ再生したユーザーが特定のアーティストに集中して収益分配されるような仕組みになってくれるなり色んな方法が増えれば、もっとよい収益性になってくれる気はします。
それでも配信しはじめた2013年当時よりは、体感として音楽配信による収益はあがってきている気がします。
PixivのBoothを以前に使った時にブースト機能があったのですが、ああいう購入時に上乗せで感謝を伝えられるような機能が音楽にもあるとよいですよね〜。
つまりSpotifyの山分け収益構造では再生回数が増えれば生き残れますが、今後必ず同じような収益を確保できるとは限りません。
定額制音楽配信サービス側で再生単価をあげていただいて、アーティスト側の収益を増やしてほしいという気持ちはありますが…、配信はじめた最初の7,900円よりは伸びてはいるのでありがたいと常々アーティストさんとも話してます。
最後に
今回の場合には、Spotifyよりも単価の高いAmazon Music UnlimitedやApple Music、LINE MUSICで再生してもらえると自分たちは嬉しいかもしれないみたいな結果が出ましたが、1番は自分に適したサービスを好きに利用してもらえるのがストレスがなくてよいのかなとも思っています。
ですが一方で、「どこで聞くのが1番助かる?」とファンの人に聞かれたら今回の結果を元に答えるかなと思います。
で、できれば一番お金になるところで再生して欲しぃぃ…ライブもしたい、機材も揃えたい、面白いCD作りたい。そうなってくると原資が足りないとアーティストさんがよく言っているためです…。
「音楽サブスクたくさんあるけど、どこでもいっか☆」ってなった時に、「あっ、でもどれが1番アーティストさんが喜ぶかな?」みたいにちょーっと考える隙間があったら、じゃあここで聞こう〜とかしていただけると最高にハッピーな感じです。
実際、私はSpotifyを使ってますが、他のサブスクのサービスもこの結果を機会に、ちょっと検討してみようかなーと考えています。
なお、何回か記載していますが、あくまでもこれは今回お手伝いしているアーティストさんの結果で、他アーティストは別サービスの方が単価高かったりする可能性もあるのでご注意ください。
ただ単純に販売収益単価が少ないからSpotify困る〜という話だけでもなく、これだけたくさんの人が使ってくれているサービスなら、他の曲も聞いてもらえるきっかけや今後新曲をCDで出す時にも手にとってもらえる可能性は少なからずあると思うので、宣伝効果なども加味して配信は続けていくと思います。
もしアーティストさんへの還元を考えている場合には、冒頭でも書いたとおり、やはり、
- CD買う
- ダウンロード買う
- サブスクでも再生する
そして余裕がおありの際にはファンクラブにも入る…これらをやってもらえると大変助かります!!!!
私個人の夢は応援しているアーティストさんの曲を再びまた、ライブ会場で聞くことなのですが、今のご時世まずコロナで開催できない&集客できない可能性が今後も続く、で大変厳しいです…。
かかるコストも半端ないけれど、今はこうして配信で全世界の人たちから支えていただいているからこそ、またいつかライブができるような方法や、効率よく新曲を出す方法を考えていければいいなあと思っています。
この記事が音楽を愛する皆さんの何らかの参考になっていれば幸いです。